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仙台高等裁判所 昭和63年(ネ)347号 判決 1992年2月12日

控訴人

有限会社三栄交易

右代表者代表取締役

高橋榮

控訴人

高橋榮

右両名訴訟代理人弁護士

松井宣

小川修

沼波義郎

半澤力

右沼波義郎訴訟復代理人弁護士

門間久美子

被控訴人

宮川商工株式会社

右代表者代表取締役

安河内巖

旧商号・株式会社清和工業製作所

被控訴人

株式会社セイワ

右代表者代表取締役

田辺茂

右両名訴訟代理人弁護士

小池恒明

松本義信

主文

一  控訴人有限会社三栄交易の本件控訴並びに差戻前及び差戻後の控訴審における請求をいずれも棄却する。

二  被控訴人らは、控訴人高橋榮に対し、連帯して、金二〇〇万四〇四四円及びこれに対する平成元年一〇月二五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三  控訴人高橋榮の差戻前及び差戻後の控訴審におけるそのほかの請求を棄却する。

四  訴訟費用は、第一審、差戻前の控訴審、上告審(ただし、控訴人高橋榮の上告棄却部分に関する上告費用を除く。)及び差戻後の控訴審を通じて、控訴人有限会社三栄交易と被控訴人らとの間においては、被控訴人らに生じた費用の二分の一を控訴人有限会社三栄交易の負担とし、そのほかを各自の負担とし、控訴人高橋榮と被控訴人らとの間においては、これを二〇分し、その一を被控訴人らの負担とし、そのほかを控訴人高橋榮の負担とする。

五  この判決は、控訴人高橋榮勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一控訴人有限会社三栄交易(以下「控訴会社」という。)

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人らは、別紙第二目録ないし第六目録記載の自動車接地具を製造、販売してはならない(右第四目録ないし第六目録に関しては差戻前及び差戻後の控訴審に於ける新請求)。

3  被控訴人らは、商品自動車接地具につきアースベルトなる名称を使用し、又はこれを使用した商品自動車接地具を製造、販売してはならない。

4  被控訴人らは、控訴会社に対し、連帯して、金一億二六〇〇万円及びこれに対する平成元年一〇月二五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え(差戻前及び差戻後の控訴審における請求の拡張)。

5  被控訴人らは、別紙1記載文言により、朝日新聞、日本経済新聞各全国版及び河北新報上に、各一回、謝罪広告をせよ(差戻前及び差戻後の控訴審における新請求)。

6  訴訟費用は第一審、差戻前の控訴審、上告審(ただし、上告棄却部分を除く。)及び差戻後の控訴審とも被控訴人らの負担とする。

7  4項について仮執行の宣言

二控訴人高橋

1  被控訴人らは、別紙第六目録記載の自動車接地具を製造、販売してはならない(差戻後の控訴審における新請求)。

2  被控訴人らは、控訴人高橋に対し、連帯して、金四七六九万六四〇〇円及びこれに対する平成元年一〇月二五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え(差戻前及び差戻後の控訴審における新請求並びに差戻後の控訴審における請求の減縮)。

3  訴訟費用は第一審、差戻前の控訴審、上告審(ただし、上告棄却部分を除く。)及び差戻後の控訴審とも被控訴人らの負担とする。

4  2項について仮執行の宣言

三被控訴人ら

1  控訴会社の本件控訴並びに控訴人らの差戻前及び差戻後の控訴審における請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は差戻前の控訴審、上告審(ただし、上告棄却部分を除く。)及び差戻後の控訴審とも控訴人らの負担とする。

第二事案の概要

一争いのない事実及び証拠上明らかな事実

1  控訴人高橋の設立した控訴会社は、昭和五三年六月以降「アースベルト」なる名称を使用して別紙第一目録記載の自動車接地具(以下「原告製品」という。)を製造販売している。

これに対し、被控訴人宮川商工株式会社(以下「被控訴人宮川商工」という。)は、昭和五四年三月以降、被控訴人株式会社セイワ(旧商号・株式会社清和工業製作所)(以下「被控訴人セイワ」という。)に依頼して別紙第二目録ないし第五目録記載の自動車接地具を製造し、これに「エンドレスアースベルト」、「エンドレスアースラバー」等の名称を使用して、その販売を開始し、その後、同第六目録記載の自動車接地具(以下「第六目録製品」といい、右第二目録ないし第六目録記載の製品を総称して「被告製品」という。)を製造販売した。

2  控訴人高橋は、原告製品に係る考案(以下「本件考案」という。)について実用新案権(昭和五三年五月二三日実用新案登録出願、昭和五四年一二月一日出願公開、昭和五六年六月一九日出願公告、昭和五七年二月二六日登録)を有する。

二控訴人らの請求内容と本件訴訟経過

1  第一審

控訴人らは、主位的に不正競争防止法に基づき、予備的に意匠権に基づき、別紙第二、第三目録記載の自動車接地具の製造販売の差止、及び、「アースベルト」なる名称の使用とこれを使用した自動車接地具の販売(同法一条一項一号にいう、商品表示「ヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売」することを、以下「使用等」という。)の差止、並びに、営業上の利益の侵害に対する損害賠償を請求したが、右各請求はいずれも棄却された。

2  差戻前の控訴審

控訴人らは、意匠権に基づく請求を取り下げ、差止請求については、予備的に実用新案権に基づく請求を追加するとともに、対象物件として別紙第四、第五目録記載の自動車接地具を追加し、更に、損害賠償請求に新聞紙上への謝罪広告の掲載の請求を追加した上、債務不履行又は不法行為に基づく請求をその第二次請求、実用新案法一三条の三所定の補償金の支払請求をその第三次請求としたところ、控訴人らの実用新案権に基づく別紙第二目録ないし第五目録記載の自動車接地具の製造販売の差止請求は認容されたが、そのほかの請求はいずれも棄却された。

3  上告審

差戻前の控訴審判決に対しては控訴人らからのみ上告の提起があったところ、控訴会社の敗訴部分全部と控訴人高橋の右補償金支払請求の棄却部分を破棄して差し戻し、控訴人高橋のそのほかの上告を棄却する旨の判決が言い渡された。

4  差戻後の控訴審

(一) 控訴会社は、債務不履行及び実用新案権に基づく請求を取り下げ、不正競争防止法に基づく請求を不法行為に基づく請求と選択的併合とし、差止対象物件として第六目録製品を追加したほか、損害賠償の請求額を拡張した。

したがって、控訴会社は、不正競争防止法に基づき、差止請求以外の請求については選択的に不法行為に基づき、被控訴人らに対し、被告製品の製造販売及び「アースベルト」なる名称の使用等の差止、並びに、被控訴人らが被告製品を製造販売したことによって控訴会社が被った損害の賠償及び新聞紙上への謝罪広告の掲載を請求する。

(二) 控訴人高橋の請求は、実用新案法一三条の三所定の補償金の支払請求(差戻前の控訴審における新請求)のみが差し戻され、そのほかの請求については上告審で確定したところ、控訴人高橋は、新たに被告製品の製造販売について同法一二条二項及び二九条二項に基づく損害賠償請求を追加したほか、実用新案権に基づく第六目録製品の製造販売の差止請求を追加した。なお、右補償金の請求額が減縮された。

三控訴人らの主張(請求原因)と被控訴人らの主張(反論)

1  控訴会社の不正競争防止法に基づく差止並びに損害賠償及び謝罪広告掲載請求

(一) 控訴会社の主張

(1) 控訴人高橋の設立した控訴会社が昭和五三年六月以降「アースベルト」なる商標を使用して製造販売している原告製品は、爆発的売行きを示し、昭和五四年三月までに約一五万本販売され、更にその製造販売本数は増加の一途をたどっており、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等による広告宣伝とあいまって、原告製品の形態自体及び右商標は、遅くとも昭和五四年四月ないし五月ころには、控訴会社の商品たることを示す表示として仙台市を中心に全国的に知られるようになり、不正競争防止法一条一項一号にいう「本法施行ノ地域内ニ広ク認識セラルル」(以下「周知」又は「周知性」という。)商品表示となっていた。

(2) 被控訴人宮川商工は、昭和五三年八月ころに原告製品の独占的販売権を得たい旨控訴会社に申し入れたものの、四六〇〇本程度を仕入れたのみで、その後の継続的取引を断られたことから、昭和五四年三月ころ、被控訴人セイワに依頼して別紙第二目録ないし第五目録記載の自動車接地具を製造し、これに「エンドレスアースベルト」、「エンドレスアースラバー」等の商標を使用してその販売を開始し、その後、第六目録製品を製造販売した。

(3) 被告製品の形態は原告製品の形態と酷似しており、また、被告製品に使用されている右商標は原告製品に使用されている前記商標と類似しているため、被告製品の販売自体及び右商標の使用等は、被告製品を原告製品と誤認混同させるものである。

(4) 被控訴人らが昭和五四年三月から昭和五六年一月までに製造販売した被告製品の本数は一九万八六一〇本であり、それ以後平成元年七月までの製造販売本数は二〇万本を下回ることはない。

ところで、原告製品は、一本当たり、卸売価格が四〇〇円、原価が二〇八円であるから、利益が一九二円となる。

また、控訴会社と控訴人ら訴訟代理人との間で、各審級を通じ勝訴金額の五割に相当する弁護士費用を支払う旨合意がされているから、前記商品混同行為と相当因果関係に立つ損害として右弁護士費用のうち五〇〇〇万円を請求する。

そうすると、被控訴人らが昭和五四年以降被告製品を合計三九万八六一〇本製造販売したことにより控訴会社が被った損害の額は、一億二六五三万三一二〇円と算出される。

控訴会社は、右損害のうち一億二六〇〇万円の賠償を請求する。

(5) 次の諸事情に照らせば、被控訴人らの被告製品の製造販売により、控訴会社の営業上の信用が害されたことは明らかであるから、控訴会社は、被控訴人らに対し、新聞紙上への謝罪広告の掲載を請求することができる。

① 被控訴人らは、控訴会社から昭和五四年四月一三日付警告書を受領し、また、同年五月二五日付で被告製品の製造販売禁止の仮処分命令が発せられているにもかかわらず、右警告書及び仮処分命令を無視し、被告製品の製造販売を継続した。

② 被控訴人らは、原告製品の価格が一本一五〇〇円であるにもかかわらず、被告製品を一本六〇〇円の不当廉価かつ全国的規模で販売した。

③ 被控訴人らは、本来控訴会社と直接又は株式会社双見商会を介して取引を継続していた関係にあったにもかかわらず、右取引により得た知識を悪用して控訴会社との信頼関係を破壊し、控訴会社に対し敵対的な行動をとるに至ったものであり、単に商品混同行為をしたものではない。

(二) 被控訴人らの主張

(1) 被控訴人らは、昭和五四年五月に別紙第二目録記載の製品の製造販売を中止し、更にその後開始した別紙第三目録ないし第五目録記載の製品の製造を同年八月末、同販売を同年一一月末に中止し、それ以前から製造販売してきた第六目録製品のみをその後製造販売してきたが、本件が控訴審に差し戻された後右製品の製造販売も中止し、現在は、反射板の存在しない別の型の自動車接地具のみを製造販売している。

(2) 原告製品には、帯体の上面に「PAT」及び「EARTH」の文字が記載されているだけで、「アースベルト」の文字は表示されておらず、「アースベルト」は、商標ではなく、原告製品の名称である。

また、原告製品の形態は、不正競争防止法にいう「商品表示」としての性質を備えるに至っていない。

(3) 商品表示(形状)の類否は、形状及び模様に関する意匠(意匠法二条一項)の類否の問題として把握されるべきであるところ、控訴人らが意匠権に基づく請求を取り下げたことからも明らかなように、原告製品と被告製品との間には、商品表示における類似性は認められない。

特に、第六目録製品は、反射板をゴムアース(帯体)に固定したものであるから、原告製品との間に類似性はない。

(4) 被告製品の販売が開始された昭和五四年三月末ころには、原告製品の形態自体及び「アースベルト」なる名称は、原告製品の商品表示として未だ周知性を備えていなかった。

また、同年四月ないし五月ころにも、原告製品の形態自体及び右名称は、原告製品の商品表示として周知性を備えていなかった。このことは、次の事実に照らしても明らかである。

① 「アースベルト」についての商標の登録出願(昭和五三年出願第七四二五八号)は、昭和五七年四月三〇日付で拒絶査定がなされている。

② 控訴会社は、原告製品のほかに、反射板上に赤色の稲妻図形を顕著に表示している製品を主に販売している。

(5) 控訴人らは、本件考案が未だ出願公告に至っていない段階で、原告製品に特許標記の「PAT」の文字を書き、原告製品の広告中に「PAT」の虚偽表示をして宣伝しているが、右行為は、違法行為である(特許法一八八条、一九八条)から、原告製品について商品表示の周知性を認めることは許されない。

(6) 被告製品の製造販売による利益は、一本当たり六〇円を上回ることはない。

2  控訴会社の不法行為に基づく損害賠償及び謝罪広告掲載請求

(一) 控訴会社の主張

被控訴人らは、叙上のとおり、控訴会社が努力して開発した考案品が既に市場において爆発的売行きを示しているのを見て、従前からの契約当事者の地位を利用して模造品の製造販売を行ったのであるから、控訴会社に対する不法行為が成立し、被控訴人らは、控訴会社に対し、右不法行為により控訴会社が被った損害を賠償し、謝罪広告を掲載する責任がある。

なお、右損害額については、前記1で述べたとおりである。

(二) 被控訴人らの主張

不正競争防止法の適用が否定されれば、不法行為の要件事実は原則として存在しない。

そして、控訴会社の主張中に不法行為の要件事実は、主張されていない。

3  控訴人高橋の実用新案権に基づく差止請求、実用新案法一三条の三所定の補償金支払請求並びに同法一二条二項及び二九条二項に基づく損害賠償請求

(一) 控訴人高橋の主張

(1) 控訴人高橋は、本件考案について実用新案権(昭和五三年五月二三日実用新案登録出願、昭和五四年一二月一日出願公開、昭和五六年六月一九日出願公告、昭和五七年二月二六日登録)を有するところ、被控訴人らは、昭和五四年三月末ころから本件考案の技術的範囲に属する被告製品を製造販売しており、同年一二月一日に出願公開があった後も、出願公開がされた実用新案登録に係る考案であることを知って、被告製品を製造販売した。

そこで、控訴人高橋は、被控訴人らに対し、第六目録製品の製造販売の差止、実用新案法一三条の三所定の補償金(出願公開から出願公告まで)の支払並びに同法一二条二項(出願公告から登録まで)及び二九条二項(登録後)に基づく損害賠償を請求する。

(2) 本件考案が出願公開された昭和五四年一二月一日以降昭和五六年一月末日までに被控訴人らが製造販売した被告製品の本数は一一万七九七六本であり、その後平成元年七月までの製造販売本数は前記のとおり二〇万本を下回ることはない。また、その販売価格は一本当たり一五〇〇円である

そして、① 本件考案は、自動車接地具の構成のすべてに係るものであり、右技術の収益に対する貢献度が大きいこと、② 原告製品は、素材自体低廉であるにもかかわらず、製品化すれば一本当たり一五〇〇円にも売れ、また、製品化する際に、改めて関連技術を開発したり、多額の費用をかける必要がなく、更に、控訴人らの営業努力によって爆発的売行きを示しており、改めて市場開拓をする必要のないこと、③ 原告製品の特性に鑑みると、原告製品は、社団法人発明協会研究所編「実施料率(第三版)」(<書証番号略>)中の「その他の製品」に分類されるところ、その実施料率の最頻値、中央値、平均値ともに、ほぼ五パーセントであること、右①ないし③その他の諸事情を考慮すると、被控訴人らの本件考案の実施について控訴人高橋が通常受けるべき実施料相当額は、売買価格の一〇パーセント(然らずとしても、五パーセント)を下回ることはないと解される。

そうすると、控訴人高橋が被控訴人らに対し請求しうる補償金及び損害賠償の額は、四七六九万六四〇〇円と算出される。

(二) 被控訴人らの主張

(1) 被控訴人らが被告製品の製造販売を中止した経過については、前記1のとおりである。

(2) 本件考案の技術的範囲は、出願後の後記補正により、反射板が「取付位置調節、相対移動可能」であるものに訂正されたことに伴い、減縮されたところ、少なくとも第六目録製品は、反射板が固定されているから、本件考案の技術的範囲に属さないことが明らかである。

(3) 本件考案の出願公開時の実用新案登録請求の範囲(以下「登録請求の範囲」という。)は、別紙2(一)記載のとおりであるが、控訴人高橋は、審査官から昭和五五年五月一四日付拒絶理由の通知を受けたため、同年七月一七日付で登録請求の範囲を別紙2(二)記載のとおり補正したところ、右補正により実質的に要旨変更があったことは否定できないから、実用新案法一三条の三所定の補償金発生要件の関係においては、右補正の時点で新たに出願がされたものと解すべきである。

本件においては、右昭和五五年七月一七日付の補正後に、控訴人高橋が被控訴人らに対し同条所定の警告をし、あるいは被控訴人らが同条にいう悪意の状態にあったことは認められない。

(4) 実用新案法一三条の三所定の補償金請求権は、同法により創設された特別な権利であるから、公開番号、公開日、公開考案そのものを記載した警告書面の内容と同程度の事実を知ることがその発生要件とされていると解すべきところ、被控訴人らが本件考案の出願公開について右程度の事実を知ったのは、出願公告のなされた昭和五六年六月一九日以後である。

すなわち、被控訴人らは、控訴人らが昭和五六年八月三一日付準備書面の提出により本件考案の出願公告による請求の追加的変更をしたため、出願書類を調査した結果、本件考案の出願公開について前記程度の事実を知ったのである。

なお、控訴人らの右準備書面提出以前において、被控訴人らが本件考案の出願公開について本格的調査をしなかったのは、次のような特別事情があったためである。

すなわち、本件考案の当初明細書における登録請求の範囲の記載では本件考案が到底登録されえないものであることは調査の結果明らかであり、また、現実の審査によっても同じ結果となっている。そして、控訴人高橋は、拒絶査定を回避するため、前記補正を行い、これにより初めて本件考案が登録の可能性のある考案となったのである。ところで、右補正に係る構成及び効果は、当初明細書には何ら記載されていなかった。更に、被控訴人ら訴訟代理人が関与した訴訟(最高裁判所昭和四四年(行ツ)第七九号事件)に関する昭和四九年二月一九日言渡の判決においては、出願公開後に実用新案登録請求の範囲が補正により減縮された場合における実用新案法一三条の三所定の補償金支払請求と第三者が右補正後の実用新案登録請求の内容を知ることの要否について、本件上告審判決と相反する判断が示されていた。このような状況下においては、出願公開された本件考案について費用をかけてまでわざわざ調査する必要性は全くなかった。

(5) 実用新案法一三条の三所定の補償金の算定基礎となる実施料の額は、後記のとおり販売価格の一パーセントを上回ることはないと考えられるところ、被告製品の販売価格は一本三八〇円であるから、補償金額は一本当たり三円八〇銭として算出すべきである。

(6) 実施料率に関する文献である<書証番号略>は、その「はじめに」の項で明記しているとおり「外国技術導入年次報告」に基づいて編集されたもので、いわゆる国際間の技術導入の対象となった高度の技術の実施料に関する文献であるから、本件実用新案については修正して適用すべきである。そして、同書中本件技術と最も深い関係にあるのは「ゴム製品」に関する技術とみるのが妥当であるところ、その実施料率の最頻値、中央値はともに一パーセントであり、また、本件が実用新案であって特許に比べて低位の技術であることをも考慮すれば、本件考案の実施料は、販売価格の一パーセントでも高いと評価される余地があり、一パーセントを上回ることはない。

第三判断

一控訴会社の請求

1  不正競争防止法に基づく差止請求

<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人らは、本件考案の登録(昭和五七年二月二六日)後、別紙第二目録ないし第五目録記載の製品の製造販売を中止し、新たに第六目録製品のみを製造販売していたが、遅くとも差戻後の控訴審係属中の平成元年一〇月ころまでには、第六目録製品の製造販売も中止し、現在被告製品の製造販売をしておらず、将来これを再開するおそれもないことが認められる

したがって、控訴会社の不正競争防止法に基づく差止請求は、そのほかの点について判断するまでもなく、理由がない。

2  不正競争防止法に基づく損害賠償及び謝罪広告掲載請求

(一) <書証番号略>、第一審証人遠藤清次良、差戻前の控訴審証人高橋潔、同高橋義二、同佐藤貞紀、同四方田堯公、差戻後の控訴審証人鈴木直一の各証言、第一審における検証(昭和五四年一一月七日実施)及び調査嘱託の各結果、第一審、差戻前及び差戻後の控訴審における控訴人高橋の供述並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(1) 控訴人高橋は、昭和五三年二月ころ原告製品を考案して、同年四月末ころ製品化し、同年六月一日控訴会社を設立し、これを通じて原告製品の販売を開始した。

(2) 控訴会社は、全国に販売されている自動車専門雑誌二誌に広告を掲載して通信販売の方法をとる一方、地元の新聞やラジオにより広告宣伝をし、同年八月ころ、株式会社双見商会と取引を開始し、同社に卸売りされた原告製品は主に東北六県の出光関係のガソリンスタンドで小売りされ、また、控訴会社は、同年一二月ころ東京の株式会社向島自動車用品製作所外一社とも取引を開始し、更に右双見商会を介して他の数社とも取引を行うようになった。

(3) 原告製品は、主としてガソリンスタンド、カー用品店、スーパー等で小売りされ、昭和五四年三月ころには東京都内のガソリンスタンドでも販売されており、昭和五三年六月から同五四年三月までの販売数は、通信販売や展示即売会での販売数を加えて約一五万本である。

そして、昭和五四年三月ころ、仙台市内を走行する相当数の乗用自動車にも原告製品が使用されていた。

(4) 被控訴人らは、昭和五三年九月ころ控訴会社から原告製品を仕入れたことがあったが、その後控訴会社に販売を断られたため、昭和五四年三月末ころ被告製品のうちの別紙第二目録記載の自動車接地具の製造販売を始め、その後、同じく別紙第三目録ないし第五目録記載の自動車接地具も製造販売した。

(5) 被控訴人らが製造販売した被告製品の本数は、昭和五四年三月には五六三〇本であったが、翌四月に一万三六四四本、五月に一万五九三〇本、六月に一万四八三〇本となり、右四月以降の三か月間に急増した。

(6) ところで、控訴人高橋は、それが違法な虚偽表示に当たることを認識しながら、原告製品の販売本数を増加させてその周知性を獲得すべく、原告製品自体に特許表示と紛らわしい「PAT」の文字を書き込み、また、前記広告(<書証番号略>)中にも、「アースベルト」の冒頭に「PAT」の文字を表示した。

(7) 更に、控訴人高橋は、改良前の原告製品について、昭和四九年五月に実用新案の登録出願をし、右出願は、昭和五〇年一二月に公開されたものの、昭和五三年三月一七日拒絶査定されていたにもかかわらず、控訴人高橋は、昭和五四年四月ないし五月ころ、被告製品の取扱いを特許侵害にかかわるものと警告することを目的とする特約店、販売店等宛の「謹告」と題する書面(<書証番号略>)において、右出願が昭和五〇年一二月に公示された旨記載し、右出願が公告されたものと誤解されやすい内容の書面を広範囲にわたって配布した。

以上の事実が認められる。

(二) 右認定の事実関係によれば、たとえ原告製品の形態自体及び「アースベルト」なる名称が不正競争防止法一条一項一号にいう商品表示に当たり、かつ、右商品表示が控訴会社の主張する昭和五四年四月ないし五月ころには同号で要件とされている周知性を備えていたとしても、控訴会社は、特許法一八八条、一九八条(虚偽表示罪)のみならず不正競争防止法一条一項五号(質量誤認惹起行為)にも該当する行為その他の一連の反良俗的行為により右周知性を獲得したものといわざるをえない。

そして、かかる場合には、控訴会社は、右商品表示と類似の商品表示の使用等をする者に対し、不正競争防止法に基づき損害賠償及び謝罪広告掲載の請求をすることができないと解するのが相当である。けだし、同法は、競争秩序における反良俗的行為を防止することにより、公正な競争秩序を維持することを目的としているからである。

(三) もっとも、第一審、差戻前及び差戻後の控訴審における控訴人高橋の供述中には、大仲康義の特許関係の著書を参考にして実用新案登録出願中であることを表す目的で「PAT」の表示をした旨の供述部分があるが、控訴人らが右著書の一部として提出した<書証番号略>(大仲康義著「特許のとり方(新版)」)には、実用新案登録出願中の場合は、「PAT Pending」と表示すれば、信用が得られる旨記載されており、右供述部分は、にわかに採用できない。

そして、特許表示とは、「特許」又は「方法特許」の文字のほかにその番号まで付したものをいう(特許法施行規則六八条)が、この場合の番号は、第三者が特許明細書等を調査する際の便宜のためのものにすぎないから、番号の有無は、特許表示上、第二義的な事項といえること、また、「PAT」は、一般に「特許」の英語による略称として使用されている場合が多いこと等を併せ考えると、番号が付記されていない「PAT」のみの表示であっても、特許表示と紛らわしい表示というべきである。

また、<書証番号略>によれば、控訴会社の前記広告又は特約店等宛の書面中には、「PAT実願六〇五二三」、「PAT申請中」、「実用新案出願中」等の表示をしたものもあったことが認められるが、前掲採用証拠によれば、控訴会社は、他方において、敢えて「高性能」の表示とともに「PAT」のみを表示して原告製品の広告をした(例えば<書証番号略>等)ことが認められるほか、前記認定のとおり、原告製品自体に「PAT」の表示があることに徴すると、右「PAT申請中」等の表示をした広告等の存在の事実をもってしても、未だ前記認定判断を動かすに足りないというべきである。

なお、前掲採用証拠のほか<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人らは、本件考案の審査経過を当初から把握していたこと、また、控訴人らの申請に基づき、昭和五四年五月二五日、被控訴人らに対し、「エンドレスアースベルト」なる名称の被告製品の販売禁止等の仮処分決定がなされたが、被控訴人らは「エンドレスアースラバー」に名称を変更して被告製品の製造、販売等を続行したこと、以上の事実が認められる。

しかし、被控訴人ら一部の者が前記「PAT」の表示の虚偽であることを知っていることは、前記控訴会社の反良俗性を減殺する事由とはなりえないし、また、被控訴人らの仮処分潜脱的行為も、控訴会社が正当な手段で前記周知性を獲得して初めて、被控訴人らによる被告製品の製造販売が不正競争行為に該当するか否かが問題となるのであるから、いずれも前記判断を動かすに足りないというべきである。

(四) 以上のとおりであるから、控訴会社の不正競争防止法に基づく損害賠償及び謝罪広告掲載の請求は、そのほかの点について判断するまでもなく、理由がない。

3  不法行為に基づく損害賠償及び謝罪広告掲載請求

当該行為が不正競争防止法の規定に該当しない場合においても、当該行為の性質、態様を考慮し、不法行為の成立を認めるのを相当とする特段の事情が存するときは、不法行為の成立を認めるべきであるが、本件においては右特段の事情が存在するとは認められない。

したがって、控訴会社の不法行為に基づく請求もまた、そのほかの点を判断するまでもなく、理由がない。

二控訴人高橋の請求

1  差止請求

前記のとおり、被控訴人らは、現在被告製品の製造販売をしておらず、将来これを再開するおそれがあるとも認められないのみならず、後記のとおり、第六目録製品は、本件考案の技術的範囲に属さない。

したがって、控訴人高橋の第六目録製品の製造販売の差止請求は、理由がない。

2  実用新案法一三条の三所定の補償金支払請求

(一) 本件考案の登録請求の範囲と被告製品との対比

(1) <書証番号略>によれば、本件考案の登録請求の範囲は、出願当初別紙2(一)記載のとおりであったが、出願公開前の昭和五四年六月二九日付補正により別紙2(三)記載のとおり補正され、更に、同年一二月一日に出願公開された後の昭和五五年七月一七付補正により別紙2(二)記載のとおり補正されたものであることが認められる。

(2) そして、出願公開時における本件考案の登録請求の範囲(別紙2(三))と昭和五五年七月一七日付補正後の登録請求の範囲(別紙2(二))とを対比すれば、実質的な相違点は、自動車に帯電した静電気をアースするために自動車後部のフレームに取付金具によって吊り下げられる導電性ゴム製の帯体に反射板を取り付けた構成からなる自動車接地具に係る本件考案において、前者では、右帯体への反射板の取付方法に特段の限定がなかったが、後者では、右反射板が「取付位置調節、相対移動可能に」取り付けられていることを要件として付加したものであることにあり、換言すれば、右昭和五五年七月一七日付補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面(<書証番号略>)に記載した事項の範囲において、反射板が「取付位置調節、相対移動可能」であるものも含む考案から、「取付位置調節、相対移動可能」であるものに限定したものとして、登録請求の範囲の減縮に当たると解される。

(3) 弁論の全趣旨によれば、被告製品のうち第六目録製品とそれ以外の製品とは、帯体への反射板の取付方法のみが異なり、後者では、反射板が「取付位置調節、相対移動可能に」取り付けられているのに対し、前者では、反射板が「鋲で」取り付けられ、かつ、鋲の付替えが容易に行えるものでないことが認められる。

その他第一審における検証の結果(昭和五四年一一月七日実施)及び弁論の全趣旨により認められる原告製品及び被告製品の各構成、効果等をも参酌すると、被告製品のうち第六目録製品以外の製品は前記補正の前後を通じて本件考案の技術的範囲に属するというべきであるが、第六目録製品は、帯体に反射板が「取付位置調節、相対移動可能に」取り付けられているとはいえないから、本件考案の技術的範囲に属さないといわざるをえない。

(二) 実用新案法一三条の三所定の警告ないし悪意の要件

(1) <書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人らは、昭和五四年五月七日に本件訴状とともに<書証番号略>(本件考案の実用新案登録願、出願審査請求書、明細書、委任状、出願番号通知)の写しの送達を受けることにより、本件考案が出願されたこと及びその内容、出願番号を知り、その後も、本件考案に類似する考案の有無・内容等を調査し、本件考案の審査の経過を見守っていたことが認められる。

(2) 右認定事実のほか、本件考案の登録出願日は、昭和五三年五月二三日であるところ、実用新案登録出願は、一年六か月経過後に例外を除き自動的に出願公開がされるものであること(実用新案法一三条の二)等に徴すると、本件考案の出願公開(昭和五四年一二月一日)の直後に、したがって遅くとも同月末日までに、本件考案が出願公開された事実及びその内容の詳細を知ったものと推認するのが相当である。

(3) ところで、実用新案登録出願人が出願公開後に第三者に対して実用新案登録出願に係る考案の内容を記載した書面を提示して警告をするなどして、第三者が右出願公開がされた実用新案登録出願に係る考案の内容を知った後に、補正によって登録請求の範囲が補正された場合において、その補正が元の登録請求の範囲を拡張、変更するものであって、第三者の実施している物品が、補正前の登録請求の範囲の記載によれば考案の技術的範囲に属しなかったのに、補正後の登録請求の範囲の記載によれば考案の技術的範囲に属することになったときは、出願人が第三者に対して実用新案法一三条の三所定の補償金支払請求をするためには、右補正後に改めて出願人が第三者に対して同条所定の警告をするなどして、第三者が補正後の登録請求の範囲の内容を知ることを要するが、その補正が願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正前の登録請求の範囲を減縮するものであって、第三者の実施している物品が補正の前後を通じて考案の技術的範囲に属するときは、右補正の後に再度の警告等により第三者が補正後の登録請求の範囲の内容を知ることを要しないと解するのが相当である(なお、被控訴人ら主張の最高裁判所昭和四七年(行ツ)第七九号事件に関する第三小法廷昭和四九年二月一九日言渡の判決は、特許明細書の要旨変更を認めたものであり、本件と事案を異にする。)

そして、前記のとおり、被告製品のうち別紙第二目録ないし第五目録記載の製品は、前記補正の前後を通じて本件考案の技術的範囲に属するから、前記説示に照らし、出願人である控訴人高橋が同条所定の補償金の支払を請求するには、右補正の後に改めて被控訴人らに対して警告をするなどして被控訴人らにおいて補正後の登録請求の範囲の内容を知ることは要しないということになる。

(三) 補償金額

(1) 実用新案法一三条の三所定の補償金の額は、当該考案が登録実用新案である場合にその実施に対し通常受けるべき金銭の額(実施料)により算出されるところ、前記のとおり、被控訴人らが本件考案の出願公告前に製造販売した製品は、いずれも本件考案の技術的範囲に属する別紙第二目録ないし第五目録記載の製品であり、かつ、被控訴人らは、本件考案の出願公開直後に、遅くとも昭和五四年一二月末日までに、本件考案が出願公開された事実及びその内容の詳細を知ったことが認められるから、本件考案の登録出願人である控訴人高橋は、被控訴人らに対し、本件考案の出願公開(昭和五四年一二月一日)後で右悪意の状態にある昭和五五年一月一日以降出願公告(昭和五六年六月一九日)前に被控訴人らが製造販売した被告製品の本数に本件考案の一本当たりの実施料を乗じて算出された額の補償金を請求することができる。

(2) <書証番号略>によれば、被控訴人らが昭和五五年一月から昭和五六年一月までの間に製造販売した被告製品の本数は、一〇万五四七六本であることが認められる。

しかしながら、その後本件考案の出願公告前に被控訴人らが製造販売した被告製品の本数を認めるに足りる的確な証拠はない。

(3) 次に、本件考案の実施料について検討する。

<書証番号略>差戻前の控訴審における控訴人高橋の供述によれば、原告製品の製造現価は二〇八円、卸売価格は四〇〇円であり、各代理店に販売する場合の粗利益は一九二円であることが認められる。

他方、前記のとおり、被控訴人らは、被告製品を三八〇円で販売し、それぞれ六〇円の純利益を得ていたことが認められる。

その他本件考案の内容<書証番号略>(社団法人発明協会昭和五五年一一月発行・社団法人発明協会研究所編「実施料率(第三版)」)等を総合して考察すると、本件考案の実施料は、右被告製品の販売価格三八〇円に五パーセントを乗じて算出された一九円が相当額と認められる。

(4) そうすると、控訴人高橋が被控訴人らに対して請求できる補償金の額は、二〇〇万四〇四四円と算出される。

(四) まとめ

したがって、控訴人高橋の実用新案法一三条の三所定の補償金支払請求は、右二〇〇万四〇四四円及びこれに対する控訴人ら作成の平成元年八月一日付準備書面(控訴の趣旨変更申立書)が被控訴人らに送達された日の翌日である平成元年一〇月二五日(争いのない事実)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるが、そのほかは失当である。

3  実用新案法一二条二項及び二九条二項に基づく損害賠償請求

控訴人高橋は、右請求に係る損害額を、被控訴人らが製造販売した被告製品の本数に基づいて算出しているところ、昭和五六年二月以降の被告製品の販売本数を認めるに足りる的確な証拠がなく、また、本件考案の登録(昭和五七年二月二六日)後、被控訴人らは、本件考案の技術的範囲に属しない第六目録製品のみを販売していたことが認められるから、控訴人高橋の出願公告(昭和五六年六月一九日)後の実用新案登録出願人及び実用新案権者の地位に基づく右各請求は、そのほかの点を判断するまでもなく、いずれも失当として棄却を免れない。

第四結論

以上の次第で、控訴会社の第一審並びに差戻前及び差戻後の控訴審における請求は、すべて失当であるから、控訴会社の請求を棄却した第一審判決は相当であり、控訴会社の本件控訴並びに差戻前及び差戻後の控訴審における請求は、いずれも棄却を免れない。

また、控訴人高橋の差戻前及び差戻後の控訴審における請求(第一審における請求は、差戻後の控訴審の審判の対象になっていない。)は、主文二項の限度で理由があるから認容し、そのほかの請求は、失当として棄却すべきである。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官豊島利夫 裁判官飯田敏彦 裁判官菅原崇)

別紙

別紙

別紙

別紙

別紙

別紙

別紙1謝罪広告

弊社宮川商工株式会社と株式会社セイワ両社は、高橋榮氏が考案し、貴社が製造・販売し、商標「アースベルト」を付して販売している自動車静電気防止具である自動車接地具と同一又は類似の自動車接地具「エンドレスアースベルト」を製造、販売し、もって商品の混同、誤認を生ぜしめる行為をなし、貴社の信用を害したことはまことに遺憾であります。

ここに謝罪の意を表すると共に、今後かかることのないことをお誓い致します。

平成 年 月 日

東京都港区<番地略>

宮川商工株式会社

右代表取締役 安河内巖

東京都江戸川区<番地略>

株式会社セイワ

右代表取締役 田辺茂

仙台市太白区<番地略>

有限会社三栄交易

右代表取締役 高橋榮殿

別紙2

(一) 「表面に蛍光黄色使用の表示マークを施し、適当な重量をもつ反射板を取付けると共に締付けボルトによって柔軟帯板の長さを容易に調節出来るようにされた導電性ゴム柔軟帯板中に銅線を埋没した自動車接地具」

(二) 「自動車フレームに導電性板体が先端を接地させて吊架可能にされている自動車接地具において、前記フレームに接続する導電性ゴム製帯体の基部に前記フレームに対する取付金具が該帯体に対し取付位置調節、相対移動可能に付設され、前記帯体の下位に反射板が取付位置調節、相対移動可能に取付られていることを特徴とする自動車接地具」

(三) 「自動車フレームに導電性板体が先端を接地させて吊架可能にされている自動車接地具において、前記フレームに接続する導電性ゴム製帯体の基部に前記フレームに対する取付金具が該帯体に対し相対移動可能に付設され、前記帯体の下位に反射板が取付られていることを特徴とする自動車接地具」

別紙第一目録

自動車接地具

但し、別紙図面(一)のとおりのもの

第一図は正面説明図、第二図は側面説明図、第三図は横断面説明図である。

1……自動車接地具 8……反射板

2……帯体 9……反射板

3……銅線 10……嵌合溝

4……取付金具 11……挟持板

5……ボルト 12……蛍光性黄色マーク

6……ナット 13……同

7……挿通穴

別紙第二目録

自動車接地具

但し、別紙図面(二)のとおりのもの

第一図は正面説明図、第二図は側面説明図、第三図は横断面説明図である。

1……自動車接地具 8……反射板

2……帯体 9……反射板

3……銅線 10……嵌合溝

4……取付金具 11……挟持板

5……ボルト 12……蛍光性黄色マーク

6……ナット 13……同

7……挿通穴

別紙第三目録

自動車接地具

但し、別紙図面(三)のとおりのもの

第一図は正面説明図、第二図は側面説明図、第三図は横断面説明図である。

1……自動車接地具 8……反射板

2……帯体 9……反射板

3……銅線 10……嵌合溝

4……取付金具 11……挟持板

5……ボルト 12……蛍光性黄色マーク

6……ナット 13……同

7……挿通穴

別紙第四目録

自動車接地具

但し、別紙図面(四)のとおりのもの

第一図は正面説明図、第二図は側面説明図、第三図は横断面説明図である。

1……自動車接地具 8……反射板

2……帯体 9……反射板

3……銅線 10……嵌合溝

4……取付金具 11……挟持板

5……ボルト 12……蛍光性黄色マーク

6……ボルト 13……同

7……挿通穴

別紙第五目録

自動車接地具

但し、別紙図面(五)のとおりのもの

第一図は正面説明図、第二図は側面説明図、第三図は横断面説明図である。

1……自動車接地具 8……反射板

2……帯体 9……反射板

3……銅線 10……嵌合溝

4……取付金具 11……挟持板

5……ボルト 12……蛍光性黄色マーク

6……取付金具 13……同

7……挿通穴 14……ボルト

別紙第六目録

自動車接地具

但し、別紙図面(六)のとおりのもの

第一図は正面説明図、第二図は側面説明図、第三図は第一図A―A線横断面説明図、第四図は背面説明図である。

1……自動車接地具 8……反射板

2……帯体 9……反射板

3……銅薄板 11……取付部材

4……取付金具 12……蛍光性黄色マーク

5……ボルト 13……同

6……取付金具

6'……ボルト

7……挿通穴

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